「虚空」の作曲者・稲垣貴繁さんは闘病の末、2009年11月に短い生涯を閉じられました。
楽曲収録のおよそ8か月後のことでした。
「アルトネリコ」シリーズなどで多くの楽曲を手掛けておられたかたです。
体調を崩されてなお楽曲制作に意欲的で、この楽曲をご依頼した時既に病に倒れられていたのですが
体調の点でご負担をかけたくないと依頼を取り下げようとする私に対し
「まだ俺は曲を作りたい、やらせてくれ」とおっしゃいました。
稲垣さんは気力を振り絞って体力の限界まで収録に立ち合い、
作詞法、歌唱法も惜しみなく現場で教えてくださいました。
たくさんの言葉を残して下さるかのように。
私にとっては最初で最後の稲垣さんとの共作曲です。
稲垣さんがこの世に送り出した数多くの作品の中でもほぼ最後の楽曲であろうこの曲を
ようやく世に出せて、稲垣さんもほっとしてくださっているのではないかと思います。